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舌切りすずめ


むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へしばかりに行きました。

「働いて、汗をたくさんかいた後に食べる弁当が楽しみだなぁ」

お弁当を切り株の上に乗せて、おじいさんはせっせと働きました。

お昼になり、さっそくお弁当を食べようと思って袋を広げてみてビックリ!

「おやおや、弁当が空っぽだ…」

よく見るとお弁当の隣には、可愛いすずめの子が寝ていました。

「おぉ、おぉ、そうか、この子が食べたのか。お腹いっぱいになって寝ているのか。可愛いなぁ」

そうつぶやいて寝息を立てて眠っているすずめの子を愛しく見つめました。





おじいさんは、家にすずめの子を連れて帰り、育てました。

毎朝、決まった時間になると

「ちゅん!ちゅん!」

と、すずめの子の鳴き声で目を覚ましました。


「おはよう、今日も良い天気だね。良い一日になりそうだ。私はこれから仕事をしに山へ行ってくるよ。  お前は今日も一日楽しく遊んで待っていなさい」

そうすずめの子に声をかけて出かけていきました。

その頃、おばあさんも洗濯物につけるノリを縁台に置き、川へ洗濯に行く準備をしていました。

そしてすずめの子に

「帰ってからすぐ使えるように、ここに洗濯物につけるノリを置いておくからね、猫に食われないように見張っておいておくれ」

そう、言い残して洗濯物を抱えて川へと出かけていきました。

「ちゅん、ちゅん!」

すずめの子は美味しそうな香りのするノリを、誰にも取られまいと見張っていましたが

お腹がすいてきて、一口だけ…と思って摘んでいるうちに、いつの間にか全部食べてしまいました。


洗濯が終わって帰ってきたおばあさんは、ノリがなくなっていることに気付いてビックリ!

「お前か!お前が食べたのか!この子すずめめ!お仕置きしてやる!!」

カンカンに怒ったおばあさんは、ハサミですずめの子の舌を ちょっきん と切りました。

「ちぃ…ちぃ、ちぃ…」

すずめの子は痛くて怖くて逃げていきました。





山からおじいさんが帰ってくると、すずめの子の姿がありません。

「おばあさんや、すずめの子はどこかね」

そう聞いたおじいさんに、おばあさんは昼間のできごとを話しました。

「なんてことだ、何もそこまでしなくても…」

おじいさんは、すずめの子が不憫に思い探しに出かけました。


「すずめ、すずめ、すずめの子はどこじゃ?」

どれだけ歩いたか分かりません。 日も暮れ灯りもなくなりかけてきました。

「すずめ、すずめ、すずめのお宿はどこだろか?」

すると、遠くに灯りがぽつんと見えてきました。

おじいさんは、灯りのついた家に近づき戸を叩きました。

 トントントン

すると、あの舌切りすずめが出てきました。

「ああ、おじいさん。合いたかった。良くここまで来て下さいました」

おじいさんがたどり着いたのは、すずめのお宿でした。

「おじいさん、疲れたでしょう。中へ入ってください」

そう言われるがままに中へ入っていくと、すずめたちが言葉を話して綺麗な着物を着て、大勢で楽しく暮らしていました。

おじいさんは、舌切りすずめにおばあさんのやったことを謝りました。

「おじいさん、おじいさんは良い人です。だから私はおじいさんが大好き」


おじいさんはすずめたちの歓迎を受けて、美味しいご馳走を沢山食べました。

楽しく歌って、踊って… 時間が過ぎていきました。

「いつまでもいたいけれど、明日もまた山へ仕事に行かなくては…、舌切りすずめや一緒に帰るか?」

でも、舌切りすずめは首を横に振りました。

「ごめんなさい。舌を切られてしまったので、もうすずめのお宿の外では暮らしていけません」

「そうかい。そうだね。お前はここにいる方が幸せだね」

おじいさんは一人で帰ることにしました。

「おじいさん。ここまで来ていただいたお礼にお土産を持って帰ってください。
大きくて重いつづらと、小さくて軽いつづらがあります。どちらがいいですか?」

舌切りすずめは2つのつづらを見せました。

「年寄りだからね、小さくて軽いつづらの方にするよ」

おじさんは迷うことなく小さなつづらを選びました。

舌切りすずめに見送られながら、おじいさんは小さなつづらを担いで家に帰っていきました。






うちに帰って、おじいさんは早速小さなつづらを開けてみました。

「何をお土産にくれたのかな?」

開けてみてビックリ!

金ぴかの大判小判!そして綺麗に輝く宝石が出てきたのです。

その様子を後ろで見ていたおばあさんも腰を抜かして驚きました。

「なぜ、大きいつづらを貰ってこなかったんだい!大きいつづらならもっともっと大金もちになれたのに!」

おばあさんは、つづらが小さかったことに納得がいきません。

私も行ってくる!

そう言っておじいさんの止めるのも聞かず、おばあさんはすずめのお宿へ出かけていきました。


「すずめの子やすずめの子や、お前のお宿はどこだい!」

遠くに灯りを見つけ、近づいて戸を叩きました。

 ドンドンドン!!!

「ここか!ここだろ!すずめのお宿は!開けておくれ!」

中から怯えた様子の舌切りすずめが出てきました。

「お前の世話をしてやっただろう!私にもつづらをおくれ!大きくて重い方のつづらをおくれ!」

おばあさんは、目をギラつかせて言いました。

舌切りすずめは言われたとおりに大きな重いつづらを宿の奥から持ってくると、

おばあさんは奪い取るようにつづらを受け取り、帰っていきました。




重い… 重い…

大きくて重いつづらは本当に重かった。

おばあさんは一歩進んでは休み、また一歩進んでは休みを繰り返していました。

「いったいどれだけの金銀財宝がこのつづらの中には入っているんだろうね」

おばあさんは気になってしかたありません。

「きっとものすごい大金持ちになれるんだわ」

おじいさんにあげるのも惜しくなってきて、ついには

とうとう我慢ができなくなって、つづらのふたを開けてしていました。

すると…


大蛇や妖怪やお化けがはい出して来たではありませんか。


「ギャーーーーーッ」


おばあさんの叫び声が暗闇の中で響き渡りました。


おばあさんがその後、どうなったのか知る人は誰もいません。