せむしのこうま
あるロシアのお百姓の家に、イワンという男の子がいました。
イワンには二人のお兄さんがいました。
正直でお人好しなイワンのことを、お兄さんたちは
「イワンのばか」
といって、いつも馬鹿にしていました。
ある晩、イワンは畑の見張りに行かされました。
ここ数日、夜になると誰かが畑の作物を荒らしているようなのです。
夜、イワンが畑で見張りをしていると、誰かが暴れている音がします。
イワンはそーっと近づいてみました。
すると、驚くことに一頭の馬が畑を荒らしまわっているではありませんか!
その馬は、金色のたてがみがあり、雪のように真っ白でとても綺麗なメスの馬でした。
イワンはその馬にさらに近づき、えいっ!と背中に飛び乗りました。
吃驚した馬は、イワンを振り落とそうと暴れまわり首を振り回します。
でも、イワンはしっかりとつかまっていたので落ちませんでした。
しばらくすると、馬も疲れてきておとなしくなりました。そして
「降参です。降参します、イワンさん。畑を荒らしてごめんなさい。お詫びにあなたの為に素敵な子馬を生んであげます。でもそのうちの、せむしのこうま だけは決して手放してはいけませんよ」
と、言いました。
それから幾日かたち、馬は約束どおり三頭の子馬を生みました。
そのうちの二頭は、金色のたてがみと宝石のような瞳、母親似の真っ白な毛並みの美しい子馬でした。
残りの一頭は、耳が長く茶色い毛並みの醜いせむしの子馬でした。
イワンは三頭ともつれて帰り、馬小屋にいれてせっせと世話を始めました。
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